「悪玉コレステロールを下げるのは意味なし」?コレステロール対策の嘘・ホント

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コレステロールの嘘ほんと近年はインターネットなどの普及により、情報収集が簡単にできるようになり、自分が気になることに関して、すぐに調べられるようになりました。有益な情報を得られることはとてもありがたいのですが、その反面間違った情報も溢れているため、何が正しく、何が間違いなのか、自分で判断する必要があります。

コレステロールに関しての情報を集めていても、悪玉コレステロールを下げたほうが良いという説や、気にしなくていいという説に出会ったことはありませんか?

世の中には色々な専門家がたくさんいるので、一人一人によって意見が違うこともありますが、その度に私たちは情報に振り回されてしまうことも多々あります。今回は「悪玉コレステロールを下げるのは意味がない」という説について、その情報の真意や正誤について管理栄養士が分析していきます。

そもそもコレステロールは何のために体内にあるの?働きとでき方

コレステロールの働き

コレステロールというと、「なんとなく健康に悪そう」というイメージがパッと湧いてくるのではないでしょうか?そんな悪者のイメージが強いコレステロールですが、私たちはコレステロールがないと生きていくことはできません。

コレステロールの働きには以下のようなものがあります。

  • 細胞膜を構成する
  • ホルモンの材料になる
  • 胆汁酸の材料になる
  • ビタミンD前駆体の材料になる

コレステロールのでき方

コレステロールは肝臓でも合成され、1日に体重1kgあたり12~13mgが産生されています。また、食品からも摂ることができますが、食品から吸収されるコレステロールの量は40~60%となり、体内の合成量の1/3~1/7と低い割合になっています。

食品からコレステロールを多く摂取すれば、体内での合成量が減り、逆に摂取量が減れば合成量が増え、一定量が供給されるように調整されているので、肝臓の機能が正常であれば、この調整機能によって血中のコレステロールの量が乱れることはありません。

コレステロールの種類

悪玉コレステロールと善玉コレステロールの働きコレステロールは血液によって全身の細胞へ運ばれますが、そのままでは血液には溶けません。そこで、たんぱく質と結合し、水に溶けやすい形になって血中に存在しており、この成分をリポたんぱく質といいます。

このリポたんぱく質はコレステロールだけではなく、中性脂肪やリン脂質などの他の脂質成分とも結合しています。リポたんぱく質は、どの脂質がどれだけ結合しているかで比重が異なり、この違いによって善玉コレステロール(HDL)、悪玉コレステロール(LDL)に分類されます。

「悪玉コレステロールを下げた方がいい説」とは

心臓へのダメージ以前は、日本人の食事摂取基準においてコレステロールの摂取上限値が設定されていましたが、2015年の改定によってこの項目は撤廃されています。これは、食事中のコレステロールの量と、血中のコレステロールの量の相関を十分に示すエビデンスが十分に得られなかったことによります。

確かに、血中のコレステロールは、肝臓で合成されるものがほとんどで、食事から多く摂ったとしても、調整機能が働いてくれます。(ただし家族制高コレステロール血症のように、遺伝性の病気の場合は食事制限によるコレステロールの摂取制限が必要になります)

血中の悪玉コレステロールの量が増えると、動脈硬化を引き起こしやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞など、命に関わる重大な病気にかかるリスクを高めます。食事からのコレステロールの摂取制限だけではなく、脂肪酸のバランス、食物繊維の摂取、運動、生活習慣の見直しなど、包括的に取り組むことが、動脈硬化を予防に繋がるとされています。

「コレステロールは気にしなくていい説」とは

卵先にも述べた通り、2015年の食事摂取基準の改定により、コレステロールの上限値は撤廃されました。今まで卵や魚卵を食べ過ぎないように、と食事に気をつけていた人たちにとっては大きな衝撃だったと思います。

これは、食品からのコレステロールの量は、肝臓で合成される量に比べるとわずかで、例えコレステロールを多く摂りすぎても、肝臓のコレステロールの調整機能によって、体内で合成されるコレステロールが減るというメカニズムによるものと考えられます。

この動きは、アメリカの心臓病関係の学会であるACC/AHAの決定に影響を受けたものであり、肥満大国とも呼ばれるアメリカでは、いくつかの研究によって、血中のコレステロールを減らすことを目的とした従来の食事指導には根拠がないという見解がされています。

栄養士が勧める、コレステロール過渡期の暮らし方

栄養士のアドバイスコレステロールの上限値が撤廃されたことによって、今まで行ってきた栄養指導も根本的に見直さなくてはいけなくなり、私たち管理栄養士も戸惑う部分が非常に多くありました。

だからと言って、コレステロールを多く含む食べ物をたくさん食べてもいいですよ、という指導は行っていません。コレステロールを多く含む食品は、もともと動物性の食品が多く、カロリーが高かったり、飽和脂肪酸を多く含んでいたりします。

直接悪玉コレステロールを上げる原因にはならなくても、間接的にコレステロールを上げる要素は持っているのです。食品のコレステロールの含有量一つに注目するのではなく、含まれている脂質の量や質にも気をつけることが大切です。

さらに、悪玉コレステロールを改善するためには、食生活だけではなく、運動や生活習慣など、全体を見直し、規則正しく生活することが重要です。コレステロールという一点に固執するのではなく、肥満や血圧など、体全体の健康を考えて生活していれば、悪玉コレステロールの低下という結果も伴うはずです。

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 監修者 大見 貴秀医師


フリーランスの麻酔科医として複数の病院で勤務。生活習慣病アドバイザー、麻酔科標榜医、麻酔科認定医、日本麻酔科学会会員、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員。

医師として生活の質を上げ、楽しく健やかな毎日を過ごして頂くため「健康」に関する執筆も行っています。